スマートリモコン「Ambi Climate 2」をメーカーさんより提供いただき、利用して3週間程度経ちましたのでレビューします。
このスマートリモコンは、他のスマートリモコンと違い、エアコンの操作に特化しており、独自のAI技術によるエアコンの自動操作や、詳細な分析であるという点が大きな特徴です。
こう聞くとかなり先進的な製品に見えますが、やはり気になるのは実際に使ってみてどうかという点。特にAIというのは名前だけで眉唾ものも結構多いので、ちゃんと運用できるのかは気になる点ですよね。
そこで今回の記事では、実際に2-3週間程度運用してみましたので、利用体験を交えつつこの製品の特徴を紹介していきたいと思います。
もくじ
Ambi Climate 2とは何か

冒頭に述べた通り、Ambi Climate 2とはエアコン操作に特化したスマートリモコンです。
通常のエアコンは、設定した温度をベースに運転させますが、Ambi Climateの場合、自分が(室内の状況を)快適と感じるか否か、体感を軸にエアコンをコントロールできるといった点が最も特筆すべき点です。
自分が快適と感じるか否かという点で考えると、温度だけでなく湿度や天気、体調といった様々な要因もあると思います。
ちなみに、アメリカの暖房冷凍空調学会(ASHRAE) によると、温度以外にも、室内の湿度、熱放射 (日差し)、屋外の天候、代謝などの要因が快適さを形成するとの研究結果も出ているとのことです。
それを、Ambi Climateはユーザーのフィードバックや内蔵されたセンサーなどを用いて、上記の「快適さ」を実現すべく、独自のアルゴリズムやAI技術を駆使して分析し、常にその時々の環境や状態に合わせエアコンをコントロールするといった点が特徴です。
これは比較的最新のエアコンの場合、これに近い技術を持ち合わせたものも一部あるかと思いますが、Ambi Climateはエアコンに外付けするイメージで導入できるので、既存のエアコンを買い換える必要なく、比較的安価に最新技術を導入することができるのでコスパが良いです。
また、他のスマートリモコンの中でもより安価にエアコンコントロールできるものがありますが、Ambi Climateとはエアコンに特化している分、かなり詳細に分析できたり、精度の高いAIコントロール機能を使うことが可能なのです。
それでは早速開封の儀から初期設定を進めていきたいと思います。
開封
▲おしゃれなパッケージ。
▲箱の裏側には解説があります。海外発のスタートアップ製品ですが、日本語化されており安心感がある。
▲早速製品を取り出してみました。同梱品は説明書・クイックスタートガイド/本体/電源コネクター・ケーブルのみシンプルな内容です。
▲説明書ももちろん日本語化されており安心。
外観
▲本体は、なかなかオシャレなデザインです。部屋の景観を汚さない白基調のデザイン、底面が木目調になっているのが落ち着いてて暖かみのある雰囲気がいい感じ。
▲背面には、左から干し用のマイクロUSBケーブル、電源用USB、ネットワーク接続用のボタン。底面には、製造番号などの情報が記載されていました。
▲外観も結構コンパクト。適当にEcho Dotと並べて比較してみました。
▲早速電源を投入してみましょう。ロゴがオレンジ色に光ります。
初期設定
スマホアプリで初期設定をしていきます。
▲まずはAmbi Climateのサービスに登録していきます。任意のメールアドレスとパスワードを入力し、アカウント作成をタップ。登録したメールアドレスに認証用メールが届くので、そこからアクセスするとログインできます。
▲続いて、デバイスを追加します。赤丸に示す通り、「Ambi Climate 2」を指定してください。
▲ここではデバイスを設置した位置情報を登録します。Ambi Climateではその土地の気象データによる環境分析や、位置情報をトリガーにしたエアコン制御(後述)をするため、ここで設定することを推奨します。
▲続いて、Ambi Climate本体を通信させるために、Wi-Fi設定をしていきます。Ambi Climate本体の電源を入れてください。
▲まずAmbi Climateが発信しているWi-Fiに接続した後、Ambi Climate本体に自宅のWi-Fi情報を覚えこませるために、次の画面(画像右)で自宅Wi-Fiを設定します。Ambi Climateは説明書きの通り5GHz帯のWi-Fiをサポートしていないため、必ず2.4GHz帯のWi-Fiを設定してください。
▲Wi-Fi設定が完了し、残すところはエアコンのペアリング(エアコンの赤外線リモコンの情報をAmbi Climateに覚えこませる)です。
▲エアコンはプリセットから登録します。この種類はかなり豊富で1,200機種以上のエアコンで利用可能であり、対応機種が増え続けているとのことです。ただ私の家のエアコンは対応機種がなかったため、メーカー名と型名(後継機種などの情報)からの推測で似たようなリモコンを設定しました。
自分の家にあるエアコンがプリセットに登録されているかは、こちらから確認することができるので、購入前に事前に調べておくと良いでしょう。
▲最後にプリセットで登録したもので、実際にエアコンが稼働するか否かをテストします。私はプリセットにはない型名の機種を指定しましたが、エアコンからビープ音が聞こえ正しく動作していることを確認できました。(その後実際に2週間程度運用していますが、特に設定に狂いはありませんでした。)
▲これで初期設定が完了です!
以上、アプリのガイドがわかりやすく、特につまづくことなく設定することができました。私はエアコンのプリセットがたまたま存在しない型名のものだったので少し調べましたが、対応機種であればもっとスムーズに設定することができるかと思います。
注意する点としては、Wi-Fi設定の際に必ず2.4GHz帯のWi-Fiに設定することくらいかと思います。
▲初期設定が完了すると、Ambiの中央のランプが緑色に光ります。改めてみるとやはり部屋の景観を崩さないナチュラルなデザインが良いですね。
レビュー
さて、ここからは実際に利用してみた感想を掲載していきます。
エアコン分析の「軸の多さ」がすごい!稼働状況を様々な角度から分析可能
さすがエアコンに特化している専用機と言うこともあってか、かなり多くの角度で分析することができます。
スマートリモコン的な観点で言うと、他社製品のほとんどは、あらゆるトリガーから「赤外線を発信すること」に注力した製品設計になっているため、アプリ上でここまで細かく分析できるものはほぼありません。
他のスマートリモコンでも、内蔵センサーによる測定や、APIを叩いて温度湿度照度データを抽出しグラフ化(環境の可視化)をする位の事ならできますが、この製品の優れた点はエアコンの稼働状況も分析することができる点です。
▲エアコンの稼働時間を分析することができます。この機能は他のスマートリモコンにはありそうでなかった機能なので嬉しい点。電気代予測などにも役立ちそうです。
▲さらに嬉しいのが、エアコンの実行履歴を確認できること。通常のリモコンではもちろん、他のスマートリモコンではこのような形で一覧化できるものはない。簡単な分析やAI制御の稼働状況も確認できるため安心できる点。
▲もちろんこのような形で、設定したモードを温度湿度含めて、全体的な推移を確認することも可能。
このような形で様々な軸から稼働状況が確認できるのは、他のスマートリモコンにはない大きな特徴で、エアコン特化しているAmbi Climateの優位性といえます。
APIを利用してデータ抽出したりしてもちろんこのようなこともできるのですが、アプリ上でこれだけ多くの軸を見ることができるのは簡単にサクサク確認することができ、さすがエアコン特化のスマートリモコンと感じます。
ここで分析できるデータは、快適な空調を実現することや、ペットのいるご家庭などで活用できることはもちろん、家電の電気代削減といった用途にも使えるんじゃないかなと思います。
公式では、後述するAIによる自動制御を用いて電力を最大30%削減できるとされていますが、これで稼働状況分析して遠隔から手動コントロールするだけでも、省エネに十分役に立ちそうです。
AIによる自動制御の精度は合格点。フィードバックを通じて育てていく感覚が面白い

この製品の最大の特徴は、AI技術を用いて自動的に環境制御してくれる始めてのスマートリモコンであることです。
他にAI技術を用いたスマートリモコンとして「Adaptive Intelligence」と呼ばれる行動や状態を指定して制御するものはあるのですが、操作のたびに常に自分の状況や行動を指定せねばならず、自動制御と言うところまでは実現できていませんでした。
しかしAmbi Climateは、最初にフィードバックをする必要があるものの、本当の意味での自動制御が可能となります。
▲快適モードに指定するだけで、AIが自動的に最適なエアコン設定をしてくれる。
▲ちなみに人工知能で制御する対象のモードを指定することができる。これは、例えば冬には冷房モードは使用しないので、その対象から外すことが可能。誤動作防止にも役立ち安心して利用できる。
ちなみにフィードバックの仕方は、以下のようにアプリ上で実施します。
▲「暑すぎる」「暑い」「少し暑い」「快適」「少し寒い」「寒い」「寒過ぎる」の7つの選択肢があり、タップするだけで簡単に現在の環境状態をフィードバックすることができる。
最初は暑さと寒さの落差が激しく、ちぐはぐとしたエアコンの制御でしたが、日が経つにつれて徐々に自分の理想に近いところになってきました。計測時点は冬で、まだちょっと寒いかなと思う所があるので、引き続きAmbi Climateにフィードバックしていき、理想の温度に整えていければと思っています。
ちなみにこのAI機能は、どのような解析がされているのかもアプリ上で確認することができます、これも安心して使える点の一つですね。
▲学習した評価をマッピングすることもできる。フィードバックを常にしていくので、これを一覧化できるのもありがたい。
▲面白い機能がこの快適要因の重要度。天気、室内湿度、室内温度、明るさ、代謝と言う5つの指標から、自分の判断基準をAmbi Climate側で解析してデータ表示してくれます。私にとっては室内温度と明るさと言う点が重要な判断基準であるようですね。
このような形で利用してみましたが、総じてすごいなぁと思ったのが、自分の「暑い」「寒い」といった体感をベースにエアコン制御ができることです。
また、AIが時々の環境にも応じてうまく調整してくれるため、よくあるエアコンの「冷やしすぎ」「暖めすぎ」問題も改善されました。私はこれに結構悩まされてきたので、個人的に最もAmbi Climate 2を導入して最も良かったと思う点です。
高齢者の方や小さいお子さん、ペットのいるご家庭など、空気質を常に快適な環境に保ちたい方へは、このメリットはさらに際立つのではないでしょうか。
ジオフェンスはかなり細かく指定可能
本製品は、スマートフォンの位置情報を利用して設定したエリアに入ったら/出たらをトリガーにエアコンをコントロールできる、いわゆるジオフェンス機能を持っています。
これは非常に利便性の高い機能であるため特筆して掲載します。
これにより、例えば冬に外出先から帰ってくる直前に、部屋を自動で暖めておけますし、逆に外出時にはエアコンがシャットダウンするので、付けっ放しになってしまうリスクも避けられます。
他社のスマートリモコンでは、位置情報のある範囲を指定して、エアコンをオンオフすることくらいしかできませんが、Ambi Climateのジオフェンス機能は以下のように細かく設定が可能です。
▲位置情報の範囲と動作させるAmbi Climateクライメイトを指定することができる。特筆すべきは、「モード設定」ができることと、「状況」を選択できることです。最初に帰宅した場合と、最後に出かける場合を指定することが可能。
一人暮らしならまだ良いのですが、家族と一緒に住んでいる場合にこの機能を利用すると、自分が外出した時に家に家族がいる場合でも勝手にエアコンが停止してしまうなどの問題が発生することがあります。
Ambi Climateは、これを個別に指定できることによって、このような挙動を防ぐことが可能です。
Google Homeからのエアコンの音声操作について
Ambi ClimateではGoogle Homeからの音声操作が可能です。
これにより、スマホアプリの操作をしなくとも、話しかけて操作することができるのが便利です。
ここではGoogleアシスタントを使ったAmbi Climateの操作を見ていきましょう。

▲Google Homeでこちらから「アンビクライメイト」のアクションを開き、Ambi Climateにログインすれば、操作可能に。(Conversation Actions連携に対応)
Google Homeでは、以下の操作を話しかけて実施できます。
- エアコンの電源のオンオフ(複数可能)
- 室内の温度を確認
- 暑い/寒い/快適のフィードバック
特にフィードバック機能を話しかけて利用できるのは、かなり便利な機能です。
「スマートスピーカーに話しかける」と言う1手順を踏むだけでいいので、体感で「寒い/暑い」と感じたその瞬間から、フィードバックをAmbiに伝えられるのが大きな特徴です。
▲こんな感じで、エアコンの電源オンオフやフィードバックすることが可能です。(操作感が見やすくなるよう、あえてスマホ版Google Assistantの画像を載せています)
ちなみに、「アンビクライメイトにリビングの」といった形で、目的の操作の前に製品名と(Ambi側で登録した)部屋名を話さなければなりませんが、これはGoogle Homeのルーティン機能で回避することが可能です。
先述の通り、特に話しかけてフィードバックできるのは大変便利な機能ですが、注意点として、このフィードバックのアクションは暑い/寒い/快適の3つのみ選択することができます。アプリ上でできた「少し暑い/少し寒い」を選択することができません。
このへんは先述のAIによるエアコンの自動制御に大きく関わってくる部分なので、できれば設定できるようになるとありがたいです。
海外版ではすでに「少し暑い/少し寒い」にも対応しているようなので、期待しましょう!
IFTTTにも対応
Ambi ClimateはIFTTTという外部サービスに対応しています。
ちなみにIFTTTとはそれぞれのWebサービスやクラウドサービスを組み合わせ、自分が指定したルール設定に基づいてプログラミング無しで自動実行できるものです。一度使い方を覚えてしまえば、スマホアプリからタップ操作で自分の好みのルールを作れるほど簡単です。
これにより、同じくIFTTTに対応している豊富なサービス(デバイス)を組み合わせてルール実行することができます。
これは、以下のトリガーを選択することができます。
- エアコンの電源がオンorオフになったら
- 気温が閾値を下回ったら
- 気温が閾値を上回ったら
- 湿度が閾値を下回ったら
- 湿度が閾値を上回ったら
また、以下のアクションを選択することができます。
- 電源をオンorオフにする
- 快適モードで運転させる
- 外出モードで運転させる
- フィードバックを伝える
- 温度モードで運転する
ここでは、Amazon Echo(Alexa)からAmbi Climateを操作するための設定を以下に紹介します。
エアコンのオンオフ
▲トリガーにアレクサに呼びかけたい任意のセリフを、アクションにエアコンの「オフ/オンをそれぞれ指定して設定します。
これにより、以下のように話しかけることで、エアコンを消すことができます。

アレクサ、トリガー、エアコンをオフ
フィードバックを伝える
▲トリガーにフィードバックの際に用いる任意のセリフ、アクションにフィードバックの情報を指定し、それぞれのパターンごとに作ります。
これも、Google Homeの章で述べた通り、このフィードバックのアクションは暑い/寒い/快適の3つのみ選択することができます。「少し暑い/少し寒い」を選択することができません。
要望について
ここまで、Ambi Climateの優れた特徴を、利用した経験をもとに述べてきました。さらに今後のために、他の製品と比較しこういったところがあると嬉しいなと言う点を追加で掲載します。
他のリモコンと干渉することがある
私はテレビやシーリングライト、ダイソンで赤外線リモコンを利用しているのですが、そのリモコンを操作する際にAmbiが反応することがありました。
大体はビープ音がなるだけだったのですが、たまに温度の設定値が狂ってしまったこともあったりしました。
ただこれは、2週間近く使ったところ、反応しなくなりました。この辺も操作対象の機器を機械学習しているのでしょうか?
これは対象機器のみ動作するよう改善してもらいたい部分ではありますが、いずれにせよAIでの学習のことも含め、自分の環境に合わせるためには、ある程度準備期間が必要になるかと思います。
または、別のリモコンからの邪魔ならないようにデバイスの置く場所を変えるなど、多少工夫が必要です。
やっぱり他の家電に対応してほしいところ
この製品はもともとエアコンに特化したスマートリモコンであるため、正直これを指摘するのはナンセンスのような気もしますが、やはり他のスマートリモコンと同様、他の複数家電にも対応してもらえると、より利便性が増すかなと思っています。
特に照明は、測定基準の一つとしてセンシングされているようなので、これを生かして例えば「睡眠モード」とかを用意してエアコン運転を弱めつつ、照明を暗く(起床時に明るく)するなんてことができると面白いかなと。
また複数家電への対応により、Ambi Climateの優秀なAI機能を用いて、様々自動実行できるとありがたいですね。
おわりに
この製品は、巷でよく言われる、AIによる家電の自動操作と言う概念を、初めて実用レベルまで到達させたガジェットかなと思っています。
それ以外にもスマートリモコンライクに、ルーティン操作や外出先からの操作なども持ち合わせており、便利に利用することが可能です。
私のようにエアコンの暖めすぎ・冷やしすぎ問題を改善したい方や、ペットが居る家庭や高齢者がいらっしゃる家庭での利用を特にお勧めします。