Ankerから新たな独自技術を搭載した充電器が登場!
Anker 735 Chargerは、2022年7月の発表会でリリースされた、「GaN Prime」を搭載しています。
今まで以上に安全性を高めながらも、100W以上の超高出力に対応し、さらなる小型化も実現しました。
また、複数ポートへ電力を最適に配分することで、充電効率も極限まで高めました。
本製品の特徴は、以下の通り。
- 超高出力と更なる小型化を実現する「GaNPrime」を採用
- 機器に合わせて最適かつ最大スピードで充電可能な「PowerIQ 4.0」へ進化
- 温度管理機能と出力制御により端末を保護する「ActiveShield 2.0」へアップグレード
- 最大65W・3ポート搭載
- 一般的な67W充電器と比較して約55%小型化
これだけコンパクトなのに、ここまでの高出力と小型化、実際の充電性能がどれほどとなるのか気になるところ。
というわけで、今回は「Anker 735 Charger(GaN Prime 65W)」について、実際に端末を充電しつつ、充電速度や発熱状況をチェックしていきます!
もくじ
Anker 735の外観
Anker 735は、複数ポートを搭載していますが、手のひらに乗るほどコンパクト。

このサイズ感は圧巻で、Apple純正のUSB-C Power Adapter(67W)と比べても、半分以下のサイズで、重量も軽く、持ち運びがしやすいです。


前作のPowerPort III 2-Portや他社の小型3ポート充電器と比較しても更に小さい。


このコンパクトさは、Anker独自技術である、「GaN Prime」の搭載が大きいです。
GaN Primeは、以下の特徴があるAnkerの最新技術。小型充電器市場を牽引してきた、Ankerの技術の賜物です。
- 電源ICの分散配置:一体型の電源ICではなく制御ICとGaNトランジスタの分離配置が可能なICを採用。効率的な立体配置も可能に。
- PCBA 3Dスタッキング:電源ICの分離配置を採用したことにより生まれた空間を有効活用し、プリント基板および電子部品の配置を工夫。充電器内部のスペースを無駄なく活用することで、回路構造を最適化。
- PowerIQ 4.0:機器に合わせて最適かつ最大のスピードで充電が可能なAnker独自技術Power IQ™が4.0へ進化。100W以上の超高出力へも対応し、これまで以上に幅広い機器へ効率的に充電可能。
これらの総称をGaN Primeとしています。
本体スペックは以下の通り。重量は132gとスマホよりも少し軽いくらい。
項目 | 735 Charger |
---|---|
サイズ | 約66 × 38 × 29mm |
重さ | 約132g |
入力 | 100-240V ~ 1.8A 50-60Hz |
出力 | 最大65W ・USB-C:5V=3A / 9V=3A / 15V=3A / 20V=3.25A (最大65W) ・USB-A:4.5V=5A / 5V=4.5A / 5V=3A / 9V=2A / 12V=1.5A (最大22.5W) ・2ポート利用時 | USB-C (2ポート同時):合計最大65W | USB-C (上部) + USB-A:合計最大65W | USB-C (下部) + USB-A:合計最大24W ・3ポート利用時 | 合計最大65W |
カラー | ブラック |
標準価格 | 7,990円 |
充電速度:電力の自動調節がかなり良い!
さて、充電器といえば気になるのはやはり充電性能。
特に、今作ではPowerIQ 4.0によって、高出力+同時急速充電が可能となっており、「Dynamic Power Distribution」で接続機器がその時に必要な電力に合わせて供給電力を調整するというものが大きな特徴となっています。
このため、複数端末でどのように充電されるのか、その推移が気になりますね。
これを、実際の端末で充電速度と消費電力量を計測し、チェックしてみました。
MacBook Pro 14インチとiPhone 13 Proを同時充電した場合
2021年最新モデルとなる、「MacBook Pro 14インチ(M1 Pro)」と「iPhone 13 Pro」を同時充電し、その推移を検証しました。
ここでは、GaN Primeとなる直前の「PowerPort III 3-Port 65W Pod」と比較しています。

結果として、以下のグラフの通りです。

分数\充電端末 | MBP14:735 Charger(%) | iPhone 13 Pro:735 Charger(%) | MBP14:735 Charger(W) | iPhone 13 Pro:735 Charger(W) | MBP14:65W Pod(%) | iPhone 13 Pro:65W Pod(%) | iPhone 13 Pro:65W Pod(W) | iPhone 13 Pro:65W Pod(W) |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|
0分 | 0% | 0% | 0W | 0W | 0% | 0% | 0W | 0W |
10分 | 9% | 16% | 46.1W | 14.6W | 10% | 12% | 43W | 11.4W |
20分 | 18% | 30% | 46.1W | 13.8W | 20% | 23% | 44W | 11W |
30分 | 28% | 45% | 48.2W | 12.6W | 28% | 35% | 44W | 10.3W |
40分 | 39% | 58% | 48.1W | 11.7W | 37% | 46% | 44W | 10W |
50分 | 50% | 71% | 50.3W | 10.3W | 49% | 57% | 44W | 9.2W |
60分 | 63% | 81% | 53.7W | 8.7W | 58% | 67% | 44W | 8.3W |
70分 | 75% | 88% | 53W | 7.5W | 67% | 77% | 44W | 7.2W |
80分 | 86% | 94% | 40.1W | 6.2W | 76% | 84% | 44W | 5.6W |
90分 | 93% | 97% | 32.3W | 4.2W | 85% | 90% | 44W | 5.7W |
100分 | 98% | 99% | 27.5W | 1.6W | 92% | 95% | 36W | 3.9W |
104分 | 98% | 100% | 23.8W | 3.7W | 95% | 96% | 34.2W | 1.8W |
106分 | 100% | 100% | 21.3W | 1.4W | 96% | 97% | 34.2W | 1.1W |
110分 | 100% | 100% | 21.3W | 1.4W | 98% | 97% | 22.3W | 1.7W |
119分 | 100% | 100% | 21.3W | 1.4W | 100% | 99% | 38.6W | 1.2W |
128分 | 100% | 100% | 21.3W | 1.4W | 100% | 100% | 4.62W | 1.2W |
この検証結果から、「MacBook Pro 14インチ(M1 Pro)」「iPhone 13 Pro」、いずれも「PowerPort III 3-Port 65W Pod」より「Anker 735 Charger」の方が、それぞれ速く充電がされるということがわかります。
特に注目すべきは、「iPhone 13 Pro」がトリクル充電(80%)に達するまでに徐々に電力量が下がっていき、それにつれて「MacBook Pro 14インチ」側の充電出力が上がっていることです。
一般的に、複数ポート充電器というのは、この単ポートの最大出力値は決まっていて、最大65Wの場合、「45W+20W」で振り分けられているものが多いです。
そのため、一般的な複数ポート充電器の場合、iPhone 13 Pro側の充電が終わった後でも、MacBook Pro側の出力は45Wを超えません。
それに対し、「MacBook Pro 14インチ(M1 Pro)」の場合は、iPhone 13 Proへの出力が終わったのち、「45W」以上の出力がされることが大きな特徴です。(今回の場合、53.7W)
さらに、この最適化は前作より高度化されているのが、iPhone 13 Pro側の出力も増えていました。
このようなことから、複数端末を同時に充電した場合、「共に100%に達する充電速度が早くなる(今回の場合、20分以上高速)」ことが、Anker 735 Chargerの最大の進化点です。
MacBook Pro 14インチ(M1 Pro)とiPad Air 5を同時充電した場合
PC+タブレットの場合についても気になり、比較してみました。
今回は、「MacBook Pro 14インチ(M1 Pro)」と「iPad Air 5」について比較します。

そこで、次に「MacBook Pro 14インチ(M1 Pro)とiPad Air 5」を同時充電した場合の出力値を、以下のグラフにまとめます。

分数\充電端末 | MBP14(%):735 Charger | iPad Air 5(%):735 Charger | MBP14(W):735 Charger | iPad Air 5(W):735 Charger | MBP14(%):65W Pod | iPad Air 5(%):65W Pod | MBP14(W):65W Pod | iPad Air 5(W):65W Pod |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|
0分 | 0% | 0% | 0W | 0W | 0% | 0% | 0W | 0W |
10分 | 7% | 11% | 31W | 29W | 10% | 9% | 44.1W | 18.7W |
20分 | 10% | 22% | 31.2W | 28W | 19% | 18% | 44.1W | 18.6W |
30分 | 18% | 32% | 31.2W | 28W | 30% | 25% | 44.1W | 18.6W |
40分 | 27% | 43% | 34.3W | 25.7W | 40% | 35% | 44.1W | 18.6W |
50分 | 31% | 54% | 34.3W | 25.5W | 50% | 44% | 44.1W | 18.6W |
60分 | 36% | 64% | 39.3W | 19.2W | 60% | 53% | 44.1W | 18.6W |
70分 | 42% | 71% | 41.3W | 17.3W | 70% | 61% | 44.1W | 18.6W |
80分 | 48% | 78% | 43.3W | 15W | 80% | 70% | 44.1W | 18.5W |
90分 | 59% | 85% | 45.2W | 14.6W | 87% | 77% | 32.8W | 18.5W |
100分 | 66% | 91% | 45.2W | 7.25W | 94% | 84% | 25.9W | 18.5W |
110分 | 73% | 96% | 48.2W | 6.17W | 98% | 90% | 15.4W | 18.5W |
114分 | 84% | 96% | 48.2W | 5.12W | 98% | 91% | 19.6W | 1.3W |
120分 | 89% | 98% | 48.2W | 3.92W | 100% | 95% | 3.6W | 1.1W |
130分 | 95% | 100% | 47.8W | 2.1W | 100% | 98% | 2.2W | 1.7W |
140分 | 100% | 100% | 39.5W | 0.45W | 100% | 100% | 2.2W | 1.2W |
これをみると、1時間30分時点で「MacBook Pro=77%」、「iPad Air=87%」となっており、比較的バランスよく充電されるのが特徴的です。
しかし、いずれの端末も100%となったのは、2時間20分となっており、この点での速度は変わりません。
これは、iPad Airの場合、バッテリー容量が「28.6Wh」であり、iPhone 13 Proの容量が「11.97Wh」であることが影響しているものと見られます。
iPad Airの方に最初に出力が振り分けられますが、その出力時間がバッテリー容量分長いことによって、結果的にMacBook Pro側の出力も低くなっています。
iPad Airがトリクル充電に達するまでに、徐々にMacBook Pro側に移行しましたが、それまでの時間が長いのです。
そのため、このパターンの場合、MacBook Pro側は、前作のAnker「PowerPort III 3-Port 65W Pod」の方が速く充電されるという結果となりました。
その場合でも、80%充電までMacBook Pro/iPad Air双方バランス良く充電がされることから、実際の使い勝手としては、「Anker 735」の方が良い感じです。
このように、充電する端末の組み合わせによっては、必ずしも双方の端末の充電が絶対的に高速化されるわけではない、ということを留意点として挙げておきます。
3ポート利用した場合のそれぞれの出力値
最後に、出力値について補足します。
まず、単ポートで利用する場合、USB-Cの最大出力は65W、USB-Aの場合は22.5Wです。
2ポートの場合、出力が分岐され、以下の通りとなります。
- USB-C(1)+USB-C(2)=最大65W
- USB-C(1)+USB-C(2)=最大65W
- USB-C(1)+USB-A=最大65W
- USB-C(2)+USB-A=最大24W
いずれもPower IQ4.0の「Dynamic Power Distribution」によって、接続機器がその時に必要な電力に合わせて供給電力を調整します。


このように、USB-Aを介した急速充電をする場合、USB-C(1)のポートに刺さないと、最大65W出力とならない点に注意です。
しかし、従来の充電器はそれぞれのポート毎に、出力仕様が決まっていたので、自動振り分けによって、随分とシンプルなものになりましたね。実際に使う上で、あまり考える必要なし。
このように複数ポート充電器でも、比較的直感的に利用することができる、というのもAnker 735の強みです。
発熱:コンセント付近が少し熱いが前作より控えめ
複数端末でここまでの高出力を得られるとなると、気になるのは発熱です。
今作では、特にActiveShield™ 2.0が採用されており、継続的な温度管理機能と出力制御により接続端末を保護する「ActiveShield™」が、温度上昇の監視回数がこれまでの2倍に。
充電器本体の熱が規定の温度に達した場合は電流/電圧の負荷度合いを調節することで、過度の温度上昇を防ぐこの機能が、より進化したとされています。
そこで、サーモグラフィーカメラを使って、複数端末を同時充電している場合の、発熱量を調べてみました。

結果として、温度は以下の通りです。
項目 | 735 Charger | PowerPort III 3-Port 65W Pod |
---|---|---|
外皮部分 | 平均43.2℃ (MAX:45.1℃) | 平均54.2℃ |
コンセント付近 | 平均53.2℃ (MAX:54.1℃) | 平均63.8℃ (MAX:66.1℃) |
コンセント部分は通常の65W充電器のことを考えると、少し熱めです。
だいたいAnker Nano II 65W単ポート充電した際と同様ですが、コンセント付近は735 Chargerの方が若干熱いかなという感じ。
しかし、ここで注目したいのは、前作「PowerPort III 3-Port 65W Pod」と比較すると、発熱量(8℃〜10℃)近く抑えられているという点です。
見た目はほとんど変わらないのですが、内部構造が変更になったことにも起因するのでしょうか。
あくまで私が計測した範囲ではありますが、充電速度検証でも最適な充電制御というのが、この発熱においても効果がありそうな結果が見て取れました。
レビューまとめ
Anker 735 Chargerは、GaN Prime採用による「高出力・同時急速充電ができるのに小型」であることと、「端末に合わせて最適な充電配分にしてくれる」ことが大きな特徴の充電器です。
複数ポート充電器は、従来のものは複雑な出力仕様になるものが多いですが、これによって比較的シンプルかつ直感的に、安心して利用できるというのが実用面でのメリット。
加えて、上述の通り発熱にも配慮されたものとなっていると感じました。
最後に、この製品をおすすめできる人とできない人について、まとめます。
- 複数ポート充電をそこまで必要としない方(スマホだけあれば十分という方など)
- 2台以上の高速充電端末を日常的に利用している方
- ポートの出力確認が面倒に思っていた方
個人的にはAnker 735は自動で色々制御してくれる性質から「スマート充電器」と名づけたいですw
以上です!
Anker 735 Charger レビュー
Anker 735 Chargerの一番の特徴は、同時充電時に機器に合わせて「出力を最適配分」してくれる所と感じた。ポート数が多い充電器はそれぞれのポート毎に最大出力値が設定されわかりにくかったが、735 Chargerであれば、充電中に自動振り分けしてくれるため、その混乱がない。(例外あり)
加えて、発熱が前作より抑えられていることや、GaN Primeによって更に小型化されているにも関わらず、高出力を実現。スマホとノートPCを同時充電するのに現状最高の充電器!
メリット
デメリット