Beatsのイヤホンは昔から好きで、かれこれ4製品ほど試して来ました。
前作(というか廉価版)である「Beats Studio Buds」を購入した際には、レビューに書いた通り、ややこもったような音質が微妙に感じていたので、今回こそは!と期待して購入したのがBeats Fit Pro。
よりスポーツ向けとされるPowerbeats Pro(2019年発売)ともまた異なるラインの完全ワイヤレスイヤホンで、その特徴は以下の通りです。
- 独自のウイングチップによる安定した付け心地
- 独自のアコースティックプラットフォーム・2枚の振動板を採用した独自のドライバを搭載
- 空間オーディオ(ダイナミックヘッドトラッキング)対応
- Apple H1チップの搭載
ここだけ見ると、ダイナミックヘッドトラッキングによる空間オーディオと、Apple H1チップの搭載が大きいですね。(Beats Studio Budsにはなかったので)
実際に、装着して聞いてみると、音質が中々良い!音の傾向は違うものの、AirPods Proと同等、好みによってはそれを上回るイヤホンではないか?と感じました。

Kou
個人的に耳に合っていて、装着感も良かったです!
そんなBeats Fit Proについて、レビューしていきたいと思います!


利用して得たメリットとデメリット
- ワイヤレス充電に非対応
- ノイキャン・外音取り込みはAirPods Proほどではない
- ややドンシャリ傾向でノリの良い音質
- 独自のウイングチップによる装着感が絶妙に良い
- 空間オーディオ対応で音場の広がりを感じられる
- Apple H1チップでApple製品との親和性に優れる
もくじ
外観と本体機能
Beats Fit Proの外観と初期設定についてまとめていきます。
外観
イヤホンの外観は、Beatsらしいスタイリッシュなデザインとビビットな赤のロゴが目立つデザイン。少し若い人向けな感じがしますね。



サイズ感としては、AirPods Proよりも小さく、Beats Studio Budsよりも大きい感じ。


ケースはBeatsならではのおしゃれなデザインですが、結構大きめ。

このため、ポケットに入れるとちょっと膨らむのがネック。
また、このケースはワイヤレス充電にも非対応と、機能性ではちょっと微妙に感じる部分も多いです。

イヤホンなので、そんなに頻繁に充電するようなものでもないですが…
という点もありますが、デメリットと言える部分は細かいところも多く、何よりBeatsロゴがおしゃれで結構気に入っています。
Beats Studio Budsと比べると、装着検知にも対応していて、イヤホンを外せば音楽が停止されるのも便利な点です。
初期設定
初期設定は、Apple H1チップが搭載されていることによって、iPhoneやiPad、MacBookなどのApple製品に簡単に接続することができます。
蓋を開けるだけで、iPhone上に以下のポップアップが出て来て、その案内に従うだけで接続が可能です。(Bluetooth設定をいじる必要がありません)


加えて良いのが、Apple H1チップを搭載していることにより、一度どれかのApple製品に接続すれば、同じiCloud上の端末全てでペアリング設定が自動的に完了します。


これが、Apple系のBeatsならではの良さですね。
装着感がけっこう良い
装着感は個人的には中々良いなと感じました。
特徴的なウイングチップが耳にしっかりとフィットし、日課のランニングをした時でも外れにくいように思います。
公式にも謳われていますが、スポーツ向けにも良いと思います。


このウイングチップが負荷を軽減する良いクッションにもなっていて、シェルもそこまで大きくないため、圧迫感がないんですよね。
かつ、このウイングチップでうまくフィットすることにより、AirPods Proより密閉感がそこそこあるが、圧迫感はそこまでないといった絶妙な装着感となっています。
また、AirPods Proはたまにステム(うどん部分)をマスクに引っ掛けてポロッと落ちることがあるのですが、Beats Fit Proはその心配がないのが好印象です。
Beats Fit Proは音質もけっこう良い(ややドンシャリ傾向)
Beats Fit Proの音質を早速試聴してみました。
ドンシャリ傾向で解像感の高い音質
Beats Fit Proは、全体的にややドンシャリ傾向で、特に低音域が強調されています。
とはいっても、ブーミーというわけではなく、ボーカルや弦楽器(中音域)やハイハット・シンバル(高音域)もクリアと聴こえており、うまくバランスが取れている印象。
AirPods Proはフラットな音質ですが、Beats Fit Proは上記の傾向で、音の分離感があります。
そのため、ロックやクラブミュージックなどのノリの良い楽曲を聴く際には、Beats Fit Proの方がおすすめです。
また、事実上廉価版となっている、Beats Studio Budsと比べると、全体的に音質が良くなっている印象です。
特にドライバーが寄与しているのか、サイズが9.5mmとなっており、Beats Studio Budsの8.2mmと比較すると、サイズアップしています。

なお、構造としてはBeats Studio Budsと同様に、デュアルチャンバー方式が採用されています。
デュアルチャンバー方式は、ドライバーの奥の内部ハウジングを2つ設けて振動を効率よくコントロールする技術であり、これが低音の増幅と共に中高音域の解像感を上げるのに役立ちます。
これらのことから、ややドンシャリながらも、全体的に全ての音域が明瞭に聴こえてくる印象で、後述の空間オーディオのことも考えれば、音場もそこそこ広く、ノリの良いサウンドを楽しめます。
音質の総合評価としては、以下の通りです。個人的には、AirPods Proよりも特徴があって好きです。
空間オーディオで一段上の音場を楽しめる
今作、Beats Fit Proの目玉の一つといえるのが、この空間オーディオ対応です。
音が上下左右に伸びることで、音に奥行きを感じたり、空間の中で動き回るかのような、広い音場感を味わえるのが特徴的。
イヤホンなので、そこまで期待できないかなと思いきや、Beats Fit Proでもその音場の広さを感じ取れます。
それは、特にダイナミックヘッドトラッキングに対応していることが大きいです。



ロック系は、最新の楽曲の方が効果が高いですね。音に奥行きを感じられ、スタジオ感が増します。
また、全体的に低音域が特に持ち上げられる感じがして、ジャズはウッドベースの音がよりハッキリと、反響を持って視聴できるかと思います。


とはいえ、あくまでイヤホンなので、ヘッドフォンやDolby Atmos対応の映画並みのインパクトではないですが、このへんの音源を漁るのが楽しくなりますね。
空間オーディオ(Dolby Atmos)対応の楽曲は、Apple Musicでも徐々に展開されており、スタジオ感が味わえますので、ぜひ試してみてほしいです。
本体機能に関して|ノイズキャンセリングはそこそこ優秀
ワイヤレスイヤホンで重要な機能である、ノイキャンと外音取り込みについて特記して掲載します。
ノイズキャンセリングについて
ノイズキャンセリングは、結論から言うとBeats Studio Budsよりは上だが、AirPods Proには若干劣るという感想です。
とはいえ、Beats Fit Proでも十分すぎるほどで、電車・車のロードノイズや轟音をかき消してくれました。
特に電車内で試した時には、Beats Fit Proがより高めの周波数帯の音が残りやすい??(ANCですが)印象で、AirPods Proのように真空状態にいるかのようなノイズカットしてくれている感じがしなかったです。
そのため、AirPods Proと比べると、わずかに劣るといった感想ですが、実用上これでも問題ありません。
楽曲を聴いていなくとも、耳栓のようにも利用できるのが便利です。
外音取り込みについて
外音取り込みも、上記と同様にAirPods Proほど自然ではないですが、十分に集音してくれます。
試しにコンビニのレジで、Beats Fit Proを装着しながら店員さんとやりとりしましたが、特に支障がなく買い物ができました。
全体的に、ノイズキャンセリングと外音取り込みに関しては、AirPods Proが優秀すぎるという印象が強く、Beats Fit Proでも実用上では問題なく利用できます。
Apple H1チップ対応がかなり嬉しい

個人的には、Apple H1チップに対応しているのが一番嬉しいです。複数のApple製品との間でシームレスにデバイス接続・切り替えが行えます。
特に、AirPods Proでできていたような、自動切り替えに対応していることが大きいです。
- iPhoneへ接続していても、iPadを触った際にBeats Fit Proが自動で接続切り替えをし、iPadへ接続する
- iPadとペアリングして音楽を聴いている際にiPhoneに電話がかかってきた時、iPhoneで電話を受ければ自動的にiPhoneに接続される(マルチポイントのようなもの)
Apple Watchでも、視聴前に接続するデバイスを選択できるので、容易に切り替えが可能です。
前作Beats Studio Budsは、これを搭載していませんでしたが、Beats Fit Proではしっかりと搭載してきました。
音質以外にも、これに対応したことで価格差なりの価値があります。

Kou
僕は身の回りのモバイルデバイスをApple製品で固めているので、これがあるのは最高です!
操作方法(機能の呼び出し方)
本体の操作方法について、以下の表で解説します。
操作方法 | 機能 |
---|---|
「b」ロゴを1回押す | 再生/停止、通話の応答/切断 |
「b」ロゴを2回押す | 前にスキップ |
「b」ロゴを3回押す | 後ろにスキップ |
長押し | ノイズキャンセリングと外音取り込みの切り替え |
加えて、本体の長押しは「音量変更」にカスタマイズすることができます。(Beats Studio Budsにはなかったのでありがたい)


また、本製品はAirPods Proと同様、Siriに話しかけて操作が可能です。(本体タップをする必要なし)
これがジョギング・ランニングなど運動している最中に結構便利な機能で、イヤホン本体に触れることなく、楽曲の変更やボリューム調節が可能です。
Siriに接続すれば、天気を聞いたり音楽の呼び出しや音量操作をするだけでなく、自宅から出発・帰宅する際にSiri(HomeKit)を利用したスマートホーム(家電操作)もできたりと、地味に便利な機能です。
Beats Fit Proの応答性と接続性
Beats Fit Proの応答性や接続性に関して、簡単にテストしてみました。
オンライン会議利用時
オンライン会議時でも問題なく利用できました。
試しに、Windows PCに繋いで、TEAMS会議をしてみましたが、音質に問題なく、遅延も特に発生しませんでした。
AirPods Proと交互に使いつつ、聞き手の反応も確認しましたが、特に変わらなかったとのことです。
Beats Fit Proには6つのマイクがあり、最大5つが通話中に利用されます。屋外においては、風の音を和らげる機能も搭載されています。
そのため、こちらの話し声についても、聞き手に問題なく伝わっているようで、コミュニケーションを取ることにも問題ありません。
動画視聴時
YouTubeでゲーム実況動画をいくつか試聴してみましたが、音ズレなどもすることはありませんでした。
また、動画視聴時の音質についても、特に問題なしです。
レビューまとめ
個人的には、耳に合っているからか装着感とてもよく、何より音質も中々良いこと、Apple H1チップ搭載による機能性の良さもあいまって、メインで使っていきたいイヤホンでした。

Kou
AirPods Proとどっちをメインにするかかなり悩む…(笑)
特に、クラブミュージックなどのノリの良い楽曲を聴くには、AirPods ProよりBeats Fit Proの方がおすすめです。
ワイヤレス充電に非対応であったり、その大きさからケースには若干不満が残るものの、全体的には優秀なイヤホンだなと感じました。
また、AirPods ProやBeats Studio Budsとの違いが気になる方が特に多いと思いますので、最後に全ての実機を試した上での比較表を掲載しておきます。
項目 | Beats Fit Pro | Beats Studio Buds | AirPods Pro |
---|---|---|---|
音質傾向 | ややドンシャリ | ややドンシャリ | フラット |
ノイズキャンセリング | ◯ | ◯ | ◎ |
外音取り込み | ◯ | ◯ | ◎ |
空間オーディオ(Dolby Atoms) | ◎ | ◯ | ◎ |
Siri | ◎ | ◯ | ◎ |
装着検知 | ◯ | ✕ | ◯ |
探す機能 | ◎ | ◎ | ◯ |
防水 | IPX4 | IPX4 | IPX4 |
充電端子 | USB-C ※急速充電対応(Fast Fuel) | USB-C ※急速充電対応(Fast Fuel) | Lightning ※急速充電対応(Fast Fuel) |
ワイヤレス充電 | ✕ | ✕ | ◯ |
連続再生時間 ※()内はANC利用時 | イヤーパッド:最大7時間(最大6時間) ケース込み:最大24時間 | イヤーパッド:最大8時間(最大5時間) ケース込み:最大24時間 | イヤーパッド:最大5時間(最大5時間) ケース込み:最大24時間 |
カラー | Beatsブラック、Beatsホワイト、ストーンパープル、セージグレイ | ホワイト、ブラック、Beatsレッド | ホワイト |
価格(税込) | 24,800円 | 17,800円 | 30,580円 |
値段もAirPods Proよりお安くて、コスパが良いと感じます。よかったらぜひ!