Fire HD 10 Plusは、AmazonのFireタブレットの中でも最高峰の性能を誇るモデルです。
その特徴は以下の通り。
- 10.1インチフルHD
- 4GB RAM、オクタコアプロセッサ搭載
- ワイヤレス充電可能
- 音声アシスタント:アレクサ搭載
特にメモリ4GB搭載が注目ポイント。価格は18,980円!
今作から、キーボードカバーやMicrosoft Officeにも対応し、Amazonプライムのコンテンツを中心としたエンタメ用途だけでなく、ビジネス用途やスマートホームにも利用できそうな本製品。
早速、本製品をレビューしていきます!

もくじ
Fire HD 10 Plusのスペック
まずは、Fire HD 10 Plusのスペックについてまとめていきます。
ここでは、無印のFire HD 10(2021年発売)と旧型Fire HD 10(2019年発売)も含め、まとめます。
項目 | Fire HD 10 Plus(2021) | Fire HD 10(2021) | Fire HD 10(2019) |
---|---|---|---|
画面解像度(ピクセル) | 1920×1200 IPS | 1920×1200 IPS | 1920 x 1200(IPS) |
RAM | 4GB | 3GB | 2GB |
プロセッサ | 2.0GHzオクタコアプロセッサ | 2.0GHzオクタコアプロセッサ | 2.0GHzオクタコアプロセッサ |
Wi-Fi | 802.11 a/b/g/n/ac | 802.11 a/b/g/n/ac | 802.11 a/b/g/n/ac |
外部ストレージ | MicroSD(最大1TB) | MicroSD(最大512GB) | 32/64GB |
ワイヤレス充電 | ◯ | ✕ | ✕ |
Bluetooth | 5.0 LE | 5.0 LE | 4.2 LE |
意外にも、通常版のFire HD 10(無印)と比較し、CPUは特に変わりません。
ただし、RAM(メモリ)が4GBになっており、この点でスペックアップしています。
特に後述する二画面表示を駆使して、MicroSoft Officeでゴリゴリ作業を進める場合に、メモリはあればあるほどよいので、PCライクに利用したい場合はPlusを選びましょう。
また、タブレットには珍しく、ワイヤレス充電に対応しているのが良いところ。

(専用品は不具合が多いようなので注意。現在在庫切れになっていますね)
これは、後述のAlexaと組み合わせて、Echo Showのように利用した場合に、購入すると良いです。
Plusの登場によって、コンテンツを視聴する上でも作成するうえでも、Fireタブレットがより高度な使い方が可能となりました。
Fire HD 10 Plusの外観
Fire HD 10 Plusの外観について見ていきましょう。

旧Fire HD 10と比較し、よりベゼルが狭くなりました。


また、インカメラの配置もビデオ通話を意識してか、横画面にしたときに正面に来るよう変更されました。

今作の目玉機能は、2画面対応。これがあるだけで、作業効率が上がり、はかどりますね。


今作からキーボードカバーもついています。

キーボードカバーは着脱可能で、Fire HD 10 Plusのカバー単体としても機能します。

キーボードカバーを装着した状態の本体仕様をチェックしてみました。


キーボードカバーを装着すると、かなりの剛性感があります。
重さはズッシリ、分厚くなりますが、Fire HD 10 Plusをガッチリとカバーしてくれます。
このキーボードの詳細については、後述します。
ビジネス用途として使える?
Fireタブレットは、元々Amazonのコンテンツ(プライムビデオなど)を視聴するための専用機という位置付けでした。
しかし、その用途は徐々に増えていき、2021年モデルからMicrosoft Officeに対応したことにより、ビジネス用途にも利用できるかのように見えます。
実際の利用感としては、メイン機として使うには難しいですが、ビデオ通話用途や資料参照用のサブ機として使うならアリ。といったところです。
Microsoft Office対応について
このOffice対応というのは、非常に大きいです。これまでAmazonのデバイスは、コンテンツ視聴機としての利用が中心で、コンテンツ作成機・ビジネス用途だとAndroidタブレットと明らかに差がありました。
しかし、Officeに対応したことによって、Officeと同期できるようになり、資料やオンライン会議、メール送受信の環境を難なく導入できるようになりました。

操作時のレスポンスも中々良好。


ビデオ通話も上述の通りカメラの配置が変更されており、使いやすくなっています。
一方で、Officeがモバイル版であることに注意です。
例えば、Surface Go 2はPC版のOfficeを利用することができますが、この製品は以下の機能が利用できません。
Office | モバイル版で利用できない主な機能 |
---|---|
Word | ・テキスト効果 ・画像に影と反射のスタイルを追加 ・文書校正 ・書式のコピー&ペースト |
Excel | ・シートの保護 ・ブックの保護と共有 ・ピボットテーブル ・定義された名前 |
PowerPoint | ・アニメーションの追加 ・文書校正 ・スペルチェック ・罫線 ・画像に影と反射のスタイルを追加 |

個人的には、Excelのピボットが使えないところが痛いですが、参照は問題なくできますし、ちょっとした編集も可能。
主だっては、TEAMSのビデオ会議用、Outlookや資料の参照メインでちょっとした編集に利用できるといった感想を持ちました。
キーボードカバーについて(入力切替は「Fn+Ctrl」で)
Fire HD 10シリーズには、今作からキーボードカバーも発売されています。
このキーボードは、Fire HD 10 Plus専用として考えると、中々使い勝手が良かったです。
その理由は、以下の部分にFireタブレットを操作するための専用のファンクションキーがついているところ。

ファンクションキーの操作については、以下の通りです。
- ホーム画面に戻る(長押しでAlexa起動)
- 検索
- 戻る
- ファイルフォルダを開く
- 明るさ 下/上
- 巻き戻し/早送り
- 音量減/増
- ロック画面
- ブラウザを開く
ホーム画面、フォルダ、ブラウザに直接アクセスできるのが便利でした。
一方で、ネックとなるのは日本語と英語の入力切り替え。この製品には日本語・英語の変換キーがありません。
キーボード下部に「Shift+スペースキー」で変換するよう記載されていますが、これはかなり特殊で、指を逐一広げなくてはならないので、使いづらい。
かといって、Fire OSの仕様上、Windowsのように無変換・変換キーに割り当てることができません。
この代替手段としては、以下の「Fn+Ctrl」の同時押しで変換することです。よく見ると、Ctrlの上に「IME」と書いてあります。
指を広げる必要がなく、スマホのテンキー入力と同じ左下に日本語・英字切り替えがあるため、覚えやすいです。

このキーボードは、キーピッチは約16.5mmと狭く、英字配列のみ(Enterがかなり小さい)なので、一般的なWindows PCを利用されている方は、慣れが必要です。
同様に、打鍵がいかにもチープ感のあるカチャカチャ音がするので、その点の満足感は低いです。
ただし、キーボードとしては一般的なBluetoothキーボードと同様にレスポンスも良いですし、先述のファンクションキーのことも考えると、あくまで専用機としては十分かなと感じました。
ブログを書いてみた
私は、ブロガーなので、ブロガー・ライター向けの作業端末としても使えるかが気になり、試しにブログを書いてみました。

しかし、Fire HD 10 Plusでは、この用途で使うのは難しかったです。理由としては、WordPressのGutenbergエディタ上での挙動が重く、カクカクになるためです。
WordPressは世界的に利用されているCMSであり、利用されているライターさんも多いと思いますし、サブ端末として取っ付きやすそうなデバイスなので、この点はご注意ください。
ただし、OneNoteでメモしてから貼り付けするなどの工夫をすることもできますが、校正やデザインは難しいです。
iPadのSafariやChromeでは問題なく編集できるので、この点は最適化してくれるとありがたいですが、Fireタブレットはブラウザの選択肢が純正のSilkしかないのがネックですね。
今回は例としてWordPressのことを書きましたが、何が言いたかったのかというと、ブラウザベース(Webアプリ)で作業する機会が多い方は注意したほうが良いです。
これらのことから、メイン機として使うには厳しく、サブ端末として参照・ちょっとした編集をするならアリかなといったところです。
エンタメ用途として使う
元々はAmazonのタブレットであるので、エンタメ用途としても利用できます。
機能について
Fire HD 10 Plusでは、Amazonアプリが利用可能です。Google Playと比べると少ないですが、エンタメを中心とした、多くのアプリがあるので、これでも十分楽しめます。

また、Fire HD 10は2019年モデルから、ピクチャーインピクチャー(PIP)にも対応しており、動画を流しながら、調べ物などもできます。

さらに、Fire HD 10 Plusでは、2画面同時表示もできるので、映像だけでなく他のウィンドウを表示しながら、動画を探したりすることも可能です。

画質・スピーカーについて
Fire HD 10は、1920×1200の解像度(WUXGA)を有しており、フルHD以上の画質かつ、IPS液晶です。
従来から、2万円を切る安さで十分な解像度を有しているタブレットであり、視野角も良好。エンタメ視聴にバッチリです。


一方でスピーカーはと言われると…微妙ですね。一応、ドルビーアトモス対応のステレオスピーカーが搭載のスペックですが、音場が広いかと言われるとそうでもなく、シャリシャリな感じです。
また、前作Fire HD 10(2019)と比較すると、わずかに低音の強化と解像感が高くなった気はしますが、iPadなどと比べると遠く及ばないです。



音質が気になる場合は、以下のような安めで低音がしっかり聴くBluetoothスピーカーを別途購入したほうが、より音楽や映画を楽しめるかと思います。
アレクサ端末として使う
目新しい機能なのであまり知られていないのですが、Fire HD 10 Plusは、アレクサを活用し、「スマートスピーカー(Amazon Echo)」のように利用することも可能です。
ちなみに、Fire HD 10 Plusには、以下の「Showモード」と「タブレットモード」に切り替えられます。
Fire HD 10 Plusは、若干スペックアップしていることからか、旧型のFire HD 10(2019)と比較して、この切替のレスポンスが良くなっていました。
Showモードについて
Fire HD 10 Plusには、「Showモード」というアレクサを利用するための専用モードがあります。
これで、Echoと同じようなインターフェースを持ち、Alexaスキルが利用できます。
私は、タブレットという特性を活かし、Fireタブレットを壁掛けで利用して、話しかけて操作できるデジタルサイネージのように利用したりと、色んな用途で使えます。
タブレットモードについて
Androidで言うところのGoogleアシスタントのように、通常のUIでもアレクサに話しかけて、操作をすることができます。(例:アプリの呼び出し)
また、デバイスダッシュボード機能を用い、アレクサのスマートホームにアクセスすることも可能です。
これは、別途スマートホーム家電を持っていないと活用できない機能ですが、例えばFire HDタブレットを利用している際に、Philips Hueで部屋の明るさを変えたり、といったこともできます。
このように、アレクサに対応していることで、デバイスの中の操作だけでなく、外の操作も可能。
価格も安いですし、一台あると便利な製品ですね。
レビューまとめ
Fire HD 10 Plusは、スペックも正当進化しており、Office対応や二画面表示の対応・専用キーボードが用意されていることで、ビジネス用途としても利用できるようになりました。
また、Fire HD 8 Plusでできていたように、ワイヤレス充電で常時待機させ、Echo Showのようにも活用できます。
本体は2万円以下にしては随分頑張っているなと感じましたが、作業用端末としてはまだサブ機くらいにとどめた方が良さそうです。
最後に、実際に利用してみてこの製品のメリットとデメリットをまとめます。
- 本格的な作業(メインPC)には向かない
- スピーカーは値段相応
- タブレットには珍しくワイヤレス充電可能
- Fireタブレットにしてはサクサク動作する
- Office対応は大きい。ビジネス用のサブ機としても活用できる
- アレクサでEcho Showのようにも利用できる
以上です!