スマートホーム、最近ジワジワと話題になっており、これから初めて見たい方も多くいらっしゃるのではないでしょうか。
インターネットを利用して、スマホから家電を遠隔操作したり、スマートスピーカーから音声操作もできたりします。
しかし、その仕組み上、スマートホームには「自宅のインターネット回線(固定回線・Wi-Fi)」が必須となります。

Kou
固定回線が必須となるので、ここがボトルネックになることが多い…
そこで今回は、スマートホームをしてみたい方へ、インターネット回線はどのようなものを引くと良いか解説します。
もくじ
スマートホームにはネット回線が必須!
スマートホームは、インターネットに接続されたデバイスや家電を通じて、生活を便利で快適にする概念のことを言います。
例えば、暑い夏。帰宅前にエアコンをスマホから遠隔操作して、家につく頃には涼しい部屋に帰ることができます。
それ以外にも、照明をスマートスピーカーで音声操作し、家事をしたり布団でゴロゴロしながら電気を消すことができます。
上記は一例ですが、このようなことの積み上げで生活が便利で快適になるものの、その土台でありボトルネックでもあるのが、インターネット回線です。

ここで、スマートホーム向けの宅内回線としておすすめのものはあるのかを、以下に整理していきます。
スマートホームに必要な通信速度と通信量
まずは、スマートホームに必要な通信速度と通信量を見ていきましょう。
ちなみにスマートホーム製品はどのようなものがあるか知りたい方は、以下の記事もご参考下さい。
IoT(スマートホーム)製品は通信使用量が少ないものが多い
私は、これまで100を超えるスマートホーム製品を利用してきましたが、その主要製品は、どれも通信量が少ないものが多いです。
いくつかの製品で通信費測定の実験してみましたので、代表的なものを以下にまとめます。
製品名 | 通信量目安 | 通信費測定に 使用した製品 | 解説 |
---|---|---|---|
スマートリモコン | 3MB/日 | +style スマートマルチリモコン | 赤外線リモコンで操作する家電を遠隔操作・音声操作できる製品。 左記目安は1日10回操作+待機通信量の合計。 |
スマートロック | 3MB/日 | Qrio Lock | 自宅の鍵をスマホ等から操作できる製品。 左記目安は1日5回操作+待機通信量の合計 |
スマートライト | 2MB/日 | +style スマート電球 (5個同時接続) | Wi-Fi対応した電球・シーリングライト。 左記の目安は1日10回操作+待機通信量の合計 |
エアコン・空気清浄機 | 9MB/日 | SHARP AIoT対応エアコン 加湿空気清浄機 | Wi-Fi対応でSHARPのCOCORO AIRサービスを利用できる。 左記の目安は1日5回操作+待機通信量の合計 |


上記の結果から、例えばスマートリモコンをスポットで利用した場合、通信費は3MB×30日=「90MB」しか利用しないんです。
ただし、以下のスマート家電(Wi-Fi対応家電)は通信量を多く利用するので、注意してください。
通信速度も1Mbpsあればそこそこのことはできる
スマートホームで利用する遠隔操作や音声操作をすること自体は、映像データや大容量ファイルを送受信しているわけではないため、通信速度はあまり求められません。
そのため、1Mbpsほどの通信速度で各家電は問題なく動作しました。
注意点として、以前ロケットモバイルの神プラン(通信速度:200kbps)を利用して、Amazon Echoから家電の音声操作をしていたときは、アレクサの回答がかなり遅くなり、結果家電の操作も遅く、実用に耐えるものではありませんでした。
その経験上、できれば1Mbps弱の速度は出るようにしておくのが良いと考えます。
1Mbpsあれば、Amazon Music等の音楽配信サービスやYouTubeの中画質(360p〜480p)、アマゾンプライムビデオのSD(480p)画質程度の再生は問題ないため、スマートスピーカー利用時のエンタメ視聴もOKです。
ネックは「メディア関連サービスとの連携」
上記の通り、スマートホームは一通りできますが、実は1つ大きなネックがあります。
それは、Amazon EchoやGoogle Nestといった「スマートスピーカー」は、通信量が比較的多いと言う点です。
スマートスピーカーは、現代のスマートホーム化で「家電の音声操作」をするために必携のデバイスとなっており、これを無視できません。
しかし、スマートスピーカーは何も使わず待機させて置くだけでも、そこそこ大きなギガ消費をします。
種別 | 通信量目安 | 通信量測定に 利用した製品 |
---|---|---|
スピーカータイプ | 22MB/日 | Echo Dot(第4世代) |
画面付きタイプ | 150MB/日 | Echo Show 8 |


スピーカータイプでも、置いておくだけで最低でも1ヶ月約600MBは消費することとなります。(画面付きタイプは画像データをやり取りしているのか、かなり通信量が多いです。)
つまり、モバイル回線でスマートホーム化をするためには、このスマートスピーカーの比較的大きな通信消費量を含めて考える必要があるのです。

Kou
この「そこまで多くはないが」「比較的大きな通信消費量で」「そこそこの通信速度が必要」という微妙なラインが、格安回線検討において、かなりややこしい点なんです…
さらに、最近では「popIn Aladdin」や「Fire TV」 のように、映像配信系のサービスを利用することが前提の製品も徐々に増えてきています。
これらは、インターネットの通信速度や帯域を多く取られます。その他以下のような家電です。
- スマートテレビ:オンライン動画配信サービスを視聴する場合、通信量を大きく消費する(地デジ/BS/CS視聴の場合は問題なし)
- 家庭用ゲーム機:Nintendo SwitchやPS5など、オンラインゲームをプレイする場合、通信費が増える
- ネットワークカメラ:常時通信が発生。上りの通信量が多い。
上記の「映像系の家電」の場合は、通信量が大きいため注意です。
このように、自宅をスマートホーム化した結果、その延長線上でネット対応の家電を利用することになる場合、それを想定してネット回線を引く必要があります。
そのため、基本的な「操作」は少ない容量・速度でも十分できますが、このような流れを考えると、一般的な光回線を引くことが無難、用途次第で格安SIMなど安いネット手段を選ぶのを推奨します。
スマートホームには光回線が無難
上記により、まずは光回線を検討するのが無難です。
そこで、この章では、スマートホームにおすすめの光回線はあるか、という点で解説していきます。
光回線のおすすめ業者
光回線には主に以下のサービスがあります。
サービス名 | 月額 | 工事費 | 特典 | スマホ割 |
---|---|---|---|---|
ドコモ光 | 4,400円 | 実質無料 | 20,000円キャッシュバック | docomo |
auひかり | 4,180円 | 実質無料 | 55,000円キャッシュバック | au |
Softbank光 | 4,180円 | 実質無料 | 特典A:36,000円キャッシュバック 特典B:現金31,000円キャッシュバック +高速無線ルーター 特典C:Nintendo Switchのプレゼント | Softbank |
楽天ひかり | 5,217円 | 2,200円〜19,800円 | Rakuten UN-LIMIT VIとセット契約で1年間無料 | 楽天モバイル |
NURO光 | 2090円〜 | 実質無料 | 45,000円キャッシュバック | Softbank |
So-net光 | 1〜24ヶ月:2,780円 25ヶ月目以降:4,928円 | 実質無料 | 24ヶ月間月額2,698円割引 | au |
コミュファ光 | 3,470円 | 無料 | 特典A:35,000円キャッシュバック 特典B:Nintendo Switchのプレゼント | au |
eo光 | 1〜24ヶ月目:2,572円 25ヶ月目以降:3,122円 | 実質無料 | 最大24ヶ月間550円割引 3,000円分の商品券プレゼント | au |
光回線は、一般的な用途であれば、どれもそこまで変わらず、料金も一定です。
ポイントとなるのは、自分がスマホで利用している通信キャリア(ドコモ・au・ソフトバンク・楽天)で選ぶのが無難です。
これによって、(家族含め)月1,000円程度の割引が出るので、基本的にはキャリアに合わせて契約しましょう。
ただ、最近では「ahamo・au・LINEMO」といった光回線セット割引対象外のものもあるので、これを利用している場合は、表にあるその他安い光回線を検討しましょう。
ただし、超高速通信「nuro光」や、月額が割安のキャンペーンを実施中の「So-net光」、その他キャッシュバックなどもあるので、用途や予算に応じて選びましょう。
現在では、楽天ひかりが「1年間無料」という超お得なキャンペーンをやっているので、スマホのキャリアに関わらず、1GB未満0円の「Rakuten UN-LIMT VI」をサブ回線として、セットで契約するのもありです。
オプションのスマートホームサービスを利用するのも手
また、回線サービスは、オプションとしてスマートホームのサービスを展開しているところもあります。
特にnuro光とso-net光は、同ソニーが提供する、「MANOMA(マノマ)」というスマートホームサービスで割引適用できるキャンペーンが開催されています。
面倒なスマートホームの初期設定も含め、全て一式そろえてしまいたい方はこういった回線サービスに紐付いたものもおすすめです。
それ以外にも、auひかりとセットで安くなるau HOMEもおすすめです。
スポット利用なら格安SIMも選択肢に入る
もし、スマート家電やスマートホームデバイスを数個しか使わない場合は、「格安SIM」で安く構築する手もあります。
宅内のインターネットは、光回線でなくとも、モバイルルーターや格安SIMでも構築できます。
先述の通り、スマートホーム製品は通信量や通信速度をそこまで求められないものが多いので、用途によってはこれで十分です。
これは、特に一人暮らしなど少人数で利用する方や、実家にいる高齢者やペットの見守りなど、特定の用途のみでスマートホーム化したい場合、良い手段です。
また、最近はahamoの流れで、格安SIMの値段が大幅に下がってきているので、とにかく節約したい方はこれを選ぶとよいでしょう。
格安SIMの代表的なものは以下のとおりです。
格安SIMのおすすめ(楽天モバイルが良い)
ahamo以降、格安SIMは安くなりました。代表的なSIMを以下の表にまとめています。
特に、先述の「1Mbps」と容量毎に最安のものを赤字で記載しています。
サービス名 | データ容量と月額 | ギガ超過後の速度 | 備考 |
---|---|---|---|
ahamo | 20GB:2,780円 | 1Mbps | |
povo | 20GB:2,480円 | 1Mbps | |
LINEMO | 20GB:2,480円 | 1Mbps | |
Rakuten | 0〜1GB:0円 1〜3GB:980円 3〜20GB:1980円 20GB以上:2980円 | 楽天回線の場合:無制限 楽天圏外かつ5GB超過後の場合:1Mbps | ・20GBを超過した場合、自動で2980円帯になってしまう |
UQモバイル | 3GB:980円 | 200kbps | データ無制限:500kbps(1980円) |
Yモバイル | 3GB:1980円 15GB:2980円 25GB:3780円 | 3GB:300kbps 15GB:1Mbps 25GB:1Mbps | |
BIGLOBE | 3GB:980円 12GB:2700円 20GB:4500円 | 200kbps | エンタメフリー:980円 |
IIJMio | 2GB:680円 4GB:880円 8GB:1280円 15GB:1580円 20GB:1780円 | 300kbps | |
Nuroモバイル | 3GB:570円 5GB:750円 8GB:1200円 | 200kbps | |
マイピタ | 1GB:800円 5GB:1150円 10GB:1550円 20GB:1750円 | 200kbps | |
J:COM Mobile | 1GB:980円 5GB:1480円 10GB:1980円 20GB:2480円 | 200kbps ※10GB〜の場合、1Mbps | |
y.uモバイル | 5GB:1490円 20GB:3980円 | 調査中 | |
OCNモバイル | 3月中旬発表 | 3月中旬発表 | ミュージックカウントフリー |
NifMo | 3GB:900円 7GB:1600円 13GB:2800円 | 200kbps |
この中で、最もおすすめなのは、「Rakuten UN-LIMIT VI」です。
まず、1GB未満での利用の場合は、なんと0円となります。(しかも契約後1年間無料キャンペーン中)
スマートスピーカーを利用しない場合、またはその利用が少ない場合はスマートホーム環境を維持させつつ、通信費は無料となるのが何より大きいです。
しかも多少利用したとして、3〜20GBでもそこまで料金がかかるものではないのも魅力的。
楽天圏外だと5GB越えた場合、超過後速度は1Mbpsとなりますが、それは上記の通りスマートホームで利用するなら問題ない速度です。
さらに、Rakuten UN-LIMITは、このSIM運用に加え動画配信サービス等をヘビーに利用したくなった場合、1年無料の「楽天ひかり」が利用できたり、ルーターも「Rakuten Wi-Fi Pocket」が実質無料入手できるキャンペーンがあるなど、派生の特典もオトクです。
欠点としては、楽天モバイルのエリアが他のキャリアに比べて狭いことですが、対応エリアであればIoT用途としてかなりおすすめのSIMです。
垂れ流し利用ならUQモバイルの「くりこしプランM」
スマートスピーカーやタブレットで音楽や動画を垂れ流しなどで常時利用したい方は、UQモバイルの「くりこしプランM」も視野に入ります。
このプランは、2,460円/月かかりますが、ポイントは「節約モード時は無制限で1Mbps」の通信量が利用できること、「データ繰り越し」が利用できることの2点です。
まず、1Mbpsの通信速度があれば、スマートホーム運用だけでなく、タブレットやスマートスピーカーでの音楽再生や動画再生(480p)くらいの用途であれば問題ありません。
このUQモバイルには、節約モードという機能が搭載されており、通常時は節約モードの「1Mbps」で運用し、どうしても高速通信が必要な場合のみ、通常モードに切り替えればよいわけです。
上記で余ったデータは次月に繰り越しできるため、このような運用をすれば、実質無制限の通信環境ができるに等しいため、おすすめです。
2,460円/月といっても、光回線やWiMAXと比べたら単体利用では安いですしね。
他にこの容量・価格帯だと、「J:COM Mobile」の10GBプラン(超過後1Mbps)の方が安いように見えますが、このSIMは、節約(低速)モードが搭載されていないことがデメリットで、外しています。(この場合だと、Rakuten UN-LIMIT VIの方が条件が良いため)
ルーターはどれを選ぶ?
ここまでは、回線サービスについてまとめてきましたが、ルーターはどれを選ぶか?も合わせてまとめていきます。
最大同時接続台数が多いものを選ぶ
スマートホーム化すると、必然的に「Wi-Fiにつながる」家電やデバイスが多くなります。
そのため、ルーターは「最大同時接続台数」が多いものを選んでおいたほうが良いです。
最近のルーターは、だいたい64台以上つながるものが多く、それらは比較的性能も良いため、これらを選ぶとよいでしょう。
スマートホーム向けとしては、そこまでハイスペックなものを選ばなくても十分稼働するので、上記の接続台数をベースに検討しましょう。
できればセキュリティ機能つきのものを選ぶ
スマートホーム化すると、自宅にIoT機器が多く設置されます。
これらは基本的に暗号化通信で処理されているので、基本的なセキュリティは担保されていますが、最近ではIoTデバイスを狙ったウイルスも出てきたりしています。
その際に、スマートホームデバイスにはウイルス対策ソフトを入れることができないので、その侵入口となるルーターにセキュリティ対策ソフトを入れ、配下のスマート家電やデバイスをまるっと守ります。
この点、ルーターにセキュリティソフト相当の機能が含まれているTP-LinkのHomeCareなどがおすすめです。

その他にもルーター用のアンチウイルスソフトとして、トレンドマイクロの「スマートホームスキャナー」といった専用のものもありますのでそれを入れると言う手もあります。
大きい家に住んでいる場合は「メッシュWi-Fiルーター」
3LDK以上の大きな部屋でスマートホーム化する場合、一つのルーターでインターネット環境を構築するのも良いですが、電波が弱くなったりつながらない場所も出てきます。
スマートホーム化すると、各部屋にWi-Fiのつながる装置が点在するため、各部屋で安定的なインターネット環境すると良いです。
その場合におすすめなのが、メッシュWi-Fiというルーターです。
メッシュWi-Fiは、各部屋にアクセスポイントを設置し、それぞれをつなぐことで複数の親機を一つのSSIDで共有できる仕組みです。

部屋に網の目にインターネット環境を張り巡らせることができるので、各部屋のスマート家電やデバイスの接続性が安定するのでおすすめです。
おわりに
スマートホーム化するのに最適なインターネット回線について解説しました。
基本的には光回線がおすすめですが、用途によってはモバイルルーターを利用するのもありです。
ただし、遠隔操作や音声操作をするために、「常時」ネット回線を利用できる環境が必須のため、上記を参考に自分に合ったネット環境を構築いただければ幸いです。

Kou
私もスマートホームについては数年試行錯誤してきました。以下の記事にその結果をまとめましたので、ぜひご参考下さい!