スリープトラッカー:Withings Sleepを購入して1週間程度利用しましたので、ファーストインプレッション的にレビューします。
私は元々ロングスリーパーな人間で、睡眠時間が短い状態が続くと急激に集中力が落ちてしまったりすることから、睡眠を人より多めに取るようにしており、さらに最近ではスマホアプリの「Sleep Cycle Alarm Clock」や「Fitbit Alta HR」を用いて睡眠の質を上げることに取り組んだりと、睡眠には結構こだわってきました。
そんな中、2018年1月に開催された家電の見本市:「CES2018」でNokia Sleepが発表(現在ではWithings Sleepにブランド名変更)され、その時からこの製品のポテンシャルの高さに注目していました。期待のあまりわざわざ遠方で開催されていた先行展示会にも足を運んだほどです。笑
この製品、何に注目しているのかというと、元々従来のアクティビティトラッカーに備わっている睡眠状態の分析ができるのはもちろんのこと、スマートホームな仕組みづくりもできるとても面白い製品なんです。
「睡眠」にこだわり、かつ最近ハマっている「スマートホーム」な仕組みづくりもできるということで、私にとっては願ってもない製品です。笑
ということで、製品の特徴の説明から実際に利用してみて感じたことを掲載していきます。
もくじ
Withings Sleepとは何か
Withings Sleepは、冒頭で述べたとおり睡眠計測に特化したアクティビティトラッカーです。マットレスの下に敷いて、寝てる人の振動や音をセンシングし、それによって計測したデータはスマホアプリに自動集計され、睡眠改善に役立てることが可能です。マットレスの下に敷いてあることで、何かを装着する煩わしさもなく、存在を意識する必要がないのが良い点ですね。
また、本製品はIFTTTに対応しており、他のスマート製品との連携が可能です。スマートホームの仕組みづくりが簡単に構築できます。
詳細については、こちらのプロモーションビデオもご確認下さい。
それでは、詳細についてレビューをしていきたいと思います。
開封の儀
まずは、Withings Sleepの開封の儀です。












開封の儀はこんな感じです。Withings Sleepを設置したところで、続いて初期設定をしていきましょう。
初期設定
初期設定には、「Withings Health Mate」アプリを利用しますので、ダウンロードし、会員登録を済ませておいてください。




▲キャリブレーション中にチュートリアルを見ておきましょう。

こんな感じで初期設定は終了です。最初のBluetoothペアリングでWithings Sleepが自動検出されることから、流れるように簡単に設定が可能です。
Withings Sleepを敷いて早速寝てみた
この製品は、10cm〜40cmの厚さがあるマットレスの下に敷くことを前提としています。布団は推奨されていません。
ただマットレスだけでなく、日本では布団で寝ている方も多いかと思います。そこで今回は、(1)15cmのマットレス、(2)布団の2パターンで試してみました。
まず①マットレスですが、Withings Sleepを敷いて寝てみてもほとんど存在を意識することはありません。データもしっかり測定されていました。
一方で、②布団ですが、これは胸部がボコッと持ち上がる感じで段差ができてしまい、寝心地にやや違和感があります。この製品はキャリブレーション時に本体が膨らみ、かつ胸の位置に配置しなければならないため、枕のような使い方もできません。
データが測定できないというわけではないのですが、せっかく睡眠の質を改善するためのものなので、常用するにはちょっと気になる点。
布団のような折りたたみができるような柔らかいものだと、Withings Sleepの膨らみをダイレクトに受けてしまうので、製品仕様上難しいのでしょう。布団への対応が明言されていないのはこういった部分によるかと思います。
この対策としては、センサーが内蔵されている固い部分を身体に当たらない位置におくことと、布団を重ねて厚みをもたせることである程度緩和されます。
よって、この製品を使う場合は原則マットレスで利用すること、布団でどうしても利用したい場合は上記対策をする必要があります。
睡眠状態の可視化について
次に、Withings Sleepのメイン機能、睡眠状態の可視化はどこまでできるのか、またその精度について見ていきたいと思います。
アプリでの見え方
まず、Withings Sleepで計測したデータはどのように表示されるのかについて見ていきたいと思います。





総じて、Withings Sleepはより快適な睡眠を目指すための十分なデータを測定・分析することが可能です。
測定の精度(Fitbit Alta HRとの比較)
この製品は、マットレスの下に敷くことでデータを測定します。ただ、購入前から気になっていたのが、本当に敷くだけでちゃんとしたデータが取れるのかという点。
特にこれまで使っていたFitbit Alta HRやApple Watch Series 3は、手首に装着するタイプのものであり、身体との設置面がないWithings Sleepは、特に脈拍によるデータ測定の面で不安がありました。
ということで、他製品と実際に比較して精度を確かめてみましょう。今回は記事編集の都合上、「Fitbit Alta HR」との比較を掲載します。




こんな感じで測定しました。1週間程度しか利用していないため何とも言えない部分がありますが、心拍数など、ここに掲載されている以外の測定結果を見ても、全般的に精度は高い印象で、合格点と言えます。身体に何か装着しているわけでもなく、ただWithings Sleepを敷いているだけなのにこの結果は凄いなぁと思いました。
一方で欠点として、3日目のデータで表れているように、(寝スマホ)などベッドでダラダラする習慣がある方は正しい結果が測定されない可能性があることに注意しましょう。これはここに掲載している日時以外にも、誤計測されることが多くありました。
やはりWithings Sleepの製品仕様上、ベッドで落ち着いている状態になると睡眠と測定されてしまうことで、このへんのデータの精度には一定の限界がありそうです。
ただ全般としては上述の通り合格点です。何より今後睡眠データを計測する際に、ただベッドに寝っ転がるだけで良いというのは手間いらずでいいですね。
今回は検証のためにFitbit Alta HRやApple Watch Series 3を装着しましたが、やはりこの装着の手間があったり、寝ている間は痒くなったりもするので、面倒くさい/煩わしいなぁと思った部分でした。
他のWithings Health製品とのヘルスデータ統合管理も可能
Withings Sleepを管理する「Withings Health Mate」アプリでは、同メーカーの別製品である「Body+」(体重計)等も利用することで、アプリに自分のヘルスデータを一元管理することができます。私はこの体重計も持っていますが、アプリのUIもよく、自分の健康に関する情報がわかりやすく表示できます。

Withings Sleepシリーズには様々な製品があるので、色々と買い集めたくなりますね。
その他にもこのヘルスデータに応じてプログラムなどの面白い仕組みがあったりしますが、このへんは利用していくにつれて気づいた点があれば、ここに追記したいと思います。
スマートホーム機能について
冒頭で挙げた通り、この製品にはもう一つの特徴として、睡眠を起点として様々な製品のトリガーとなる、スマートホーム機能というものがあります。
Withings SleepにはIFTTTというプラットフォームに対応しており、同じくIFTTTに対応しているスマート製品と連携し、寝る/起きるといった動作を起点として、様々な製品を自動で動かすことができ、睡眠導入や起床に最適な仕組みづくりをすることができるのです。
例えば、本来であれば寝に入るときには、電気やテレビ、エアコンを消したり、読書用に間接照明をつけたりなど、人によって様々かと思いますが、寝室の中にある家電や装置を操作しますよね。これが、Withings Sleepのスマートホーム機能であれば、全て自動でそれらを行ってくれるのです。
ではこれによって、どのような仕組みづくりができうるか、まずはIFTTT連携をざっと解説しつつ、私が実践した/構想している仕組みを例に見ていきたいと思います。
前提:IFTTTとの連携について
まず前提として、Withings SleepのIFTTT連携についてざっと解説しておきます。
ちなみにIFTTTとは「〇〇の場合、XXをする」といったルール設定をプログラミング無しで簡単に実現できるサービスです。
例えば、Withings SleepとIFTTTに対応している照明であるPhilips Hueを連携させる場合、「もしベッドに入ったら、照明をオフにする。」といったイメージですね。
Withings Sleepでは、現状トリガー(もし〇〇の部分、動作の”引き金”となるパーツ)として以下2つを設定することが可能です。


IFTTTの設定はこのような感じです。
今回連携した製品と構築した仕組みについて
では次に、Withings Sleepで私が取り急ぎ連携した製品を例に、Withings Sleepのスマートホーム機能を利用した感想を掲載していきます。
Philips Hue
ベッドに入った時に寝室の照明をオフ、ベッドから出た時に寝室の照明をオンと設定。寝るときには便利だが、IFTTTサービスを中継する仕組みであるため、実際に動作するまでは20秒くらいかかる。
よって、特に朝起きた時はベッドから出てしばらく薄暗い状態で待たなければならず、結局普通にスイッチ操作やスマートスピーカーに話しかけてオンにした方が速かった。
Nature Remo
IFTTT対応のスマートリモコン。エアコンのオン・オフを設定。温度変更も設定可能。この時期エアコンが必要になる季節ってわけでもないので、現状あまり使っていないが、夏場・冬場で活躍しそう。
Oittmアロマディフューザー
ベッドに入ったらアロマをオン。睡眠導入に中々役に立つ。睡眠中に消すには、Smart Lifeアプリから一定の時刻にタイマーを予め設定しておき、オフにするしかないのがネック。
セサミ3 スマートロック
ベッドに入ったら家の鍵をロック。特に必要かというとそうでもないが、これでうっかり締め忘れも回避でき安心!?
tp-linkスマートプラグ
最近発売されたIFTTT対応のスマートプラグ。現状GHKit経由の仕組みがテストできていないため、代わりにテレビの主電源ON/OFFをこの製品で行い、テレビの電源ON/OFFを無理矢理実現している。ただし、主電源を強制的にオンオフするのはテレビの経年劣化や電気代という観点からもあまりよろしくないため、一時的な利用。GHkit経由の仕組みができたら、これを夏には扇風機、冬にはホットカーペットで動作させることを考えている。
mornin’(カーテン開閉)
正式にIFTTT対応していないが、こちらの記事に掲載の仕組みを応用し、IFTTT〜Push Bullet〜Taskerと経由させて、「ベッドに入ったらカーテンを閉じる、ベッドから出たらカーテンを開ける」を実現する。(現在調整中。)
SwitchBot
現状は加湿空気洗浄機のON/OFFに利用しているが、基本睡眠時は常時点けておく類のものなので、あまり活用できていない。今試し中なのは、ベッドから出たらコーヒーメーカーのスイッチをオンを調整中。前日に食事後の皿洗いとかしている時にセットアップを済ませておけば、翌日挽きたてのおいしいコーヒーが自動ででき、シャキッと目を覚ますことが可能に!?笑
こんな感じで、例えばWithings Sleepで以下のようなことが自動化できます。
- 照明が消える
- テレビが消える
- エアコンが消える
- アロマがオンになる
- 家の鍵がロックされる
- カーテンが閉じる
- 照明がつく
- テレビがオンになる
- エアコンがつく
- カーテンが空く(調整中)
- 挽きたてのコーヒーを飲む(調整中)
上記は正直やりすぎと思いますが(笑)、とりあえずは上述のNature Remoと連携させるだけでも照明/テレビ/エアコン等の赤外線式家電や装置を制御でき、かなりできることが増えると思いますのでまずはそこからをオススメします。
スマートホーム連携の良い点・改善してほしい点は?
上述の通り、スマートホーム連携の仕組みづくりをしてよかったと思う点は以下です。
良い点:Withings Sleepを軸に睡眠に最適な環境づくりまでできる。しかも自動で。
Withings Sleepは睡眠データの計測・記録から、コーチングによる改善まで、基本的な睡眠改善に役立てる機能は整っています。ただ、これはこれまでのアクティビティトラッカーにも備わっていました。
冒頭でも述べましたが、この製品の他にはない大きな特徴は、上述のようにIFTTTに対応していることで、スマートホームライクに睡眠に最適な環境を自動で作り上げることができるという点です。
この単に睡眠を分析し、コーチングをするだけでなく睡眠に適切な環境づくりもWithings Sleepに任せられるという点は斬新かつとても便利な機能です。
改善してほしい点:睡眠の状態によってトリガーを操作することができない
このスマートホーム機能は、こと「睡眠」という観点において、これまでの単なるアクティビティトラッカーになかった新たな価値を作ってくれたものですが、現状IFTTTアプレット上での仕組みづくりという点においては、大きな欠点があります。それは睡眠の状態をトリガーにすることができないことです。
この製品はベッドに入った時と、ベッドから出たという2種類でしか操作のトリガーを引くことができないために、仕組みづくりが大きく制限されるのです。
例えば、上記に挙げたPhilips Hueを例にすると、ベッドから出たその20秒後くらいに照明がつくので、照明を目覚まし代わりに利用することができません。
目覚ましがわりとして照明を明るくするのであれば、ベッドから出る必要があります。さらにベッドから出た後も暗い状態で20秒ほど待たなければ明るくなりません。よって、快適な起床がIFTTTの仕組みできるかというとこれは難しい。
そこで、持ち前の睡眠分析機能を使い、比較的目を覚ましやすい「かなり浅い睡眠」(レム睡眠)の際にPhilips Hueを照明を明るくする、といったような仕組みづくりができると大変ありがたいのですが、IFTTT上ではあくまで「ベッドに入った時、ベッドから出た時のみ」しかトリガーが出せません。
せっかく「起きている状態」「とても浅い眠り」「浅い眠り」「深い眠り」といった4つのわかりやすい睡眠指標にカテゴライズされているのに、これを軸に家電や装置を操作できないというのは非常に残念なポイントです。
他の製品も同様にこれができれば、例えば「深い睡眠」状態になったら、アロマディフューザーを消すとか色々できるんですが、残念ながらこれを設定が簡単なIFTTT上で作ることができません。利用するには現状まだ試せていませんが、APIを叩いたりする必要があるかと思います。これは開発者の方ならまだしも、普通の人にはちょっとハードルが高いです。
よって、スマートホームという観点においてこの製品は、実質的に人感センサーと同等の仕組みづくりくらいしかできないのが現状です。せっかく睡眠分析できるのに、そのデータを具体的な仕組みづくりまでに落とし込むことができないのです。
これは実際に使ってみて個人的にかなり残念な点でしたので、ぜひ実装してもらえるとありがたいなぁと思っています。
総評
私としては、一度設定完了してしまえば、あとはベッドに寝っ転がるだけで睡眠分析から睡眠に最適な環境づくりまで自動でこなしてしまうという点が特に気に入っています。
今回の記事で指摘させて頂いたように、現状まだ発展途上感な部分もあることは確かですが、とても便利で今後のアップデートにも期待が持てる製品です。