スマートリモコン:sRemo-Rは発売当初、その機能性にかなり注目集まりながらも、初期設定の難易度(特にポート開放)やアプリの扱いにくさでクセが強く、スマートリモコン としてベストな選択肢とは言いにくいものでした。
発売当初に書いた前回レビュー記事でも特にアプリ面については不満が大きかったです。
その後、後継製品となる「sRemo-R2」が発売、ハードウエア刷新により初期設定は簡易的に、さらにアプリ面もバージョンアップでどんどん改善されていき、sRemo-R2の大きな特徴である「細かい設定が可能」である点を維持しながら、徐々に使いやすいものとなってきました。
そこで、今回の記事では、前作「sRemo-R」からの改善点を中心に「sRemo-R2」のレビューをしていきたいと思います。


もくじ
前作からの変更点
前回記事で発売当初のsRemo-Rをレビューしました。ここで勝手ながら結構な指摘をさせていただいたのですが、それらがアップデート(+後継:sRemo-R2発売)で大半が改善されています。
ということで、前回のレビューの続き的に、まずは前作からの改善点を以下に列挙したいと思います。
前回レビューも以下にリンク貼っておきますので、合わせてご確認頂ければ幸いです。
リモート操作にポート開放が不要になった初期設定

元々、sRemo-Rの大きな欠点だったのは、外出時やスマートスピーカーからの操作時に、手間のかかるポート開放が必須であった点。
これは気をつけないとセキュリティ的にもリスクがあり、ルーターの設定変更も必要、さらにグローバルIPでの利用時にこの時点で初心者向けでない感がありました。
おそらくメーカー側はこのような仕組みにすることで、サーバ運用費がかからなくなるため、コスト面をメリットとしたのだと思うのですが、他のスマートリモコンがほぼ同等の価格でポート開放なしにこれらができている現状、ポート開放必須となるのは大変痛い。
それがsRemo-Rの大きな弱点でした。
しかし、sRemo-R2では、ポート開放不要なスマートモードというものが搭載されています。
詳細な初期設定については、以下のメーカーサポートサイトをご参考ください。
プリセットをメーカー側で準備
スマートリモコンの設定を簡単サクッとするために非常に重要なのがプリセット機能。
これは、他社スマートリモコンにようやく追いついたという状況ですが、最低限リモコンとしてこれがないと直感的な操作が難しいという部分だったので、改善されたのは嬉しい点。
sRemoの場合、以前の方式では、他のユーザーが設定したリモコン情報をクラウドで共有する方式がプリセットの代替手段として取られてきました。
これは、日本に流通する家電のみに絞って(質の高い)プリセット情報を貯めるという意味では画期的な方法だなと当時は思いましたが、やはりユーザー任せな点があり、データの絶対量が少なく結局手動登録する必要が出てきてしまうのがデメリットでした。
しかし、プリセット機能がメーカー側で用意されるようになり、上述の通り専用のインターフェースもできたことも相まってか、家電登録は非常に簡単になりました。

専用インターフェースの搭載
以前、sRemo-R2はリモコンボタンが全てボックスのような形だったので、従来のリモコンと配置が異なっていたり見分けがつきにくかったりして、直感的な操作ができなかったり、エアコンの温度管理が実質できないに等しいなどの問題を抱えていました。

しかし、現在ではエアコン、テレビ(AV機器)、照明用の専用のUIで管理することができます。

これにより、前章で述べたプリセット機能の話も絡めると、最低限他社と同等レベルの操作性を実現できるようになっています。
エアコンの温度操作がスワイプのみで、ちょっと画面上からではわかりずらかったので、こういった細かい点は今後改善していただけると嬉しいなぁと思います。
改善されつつあるUI
前回のレビューで散々述べてしまったUIの悪さですが、その後の精力的なアップデートにより改善されてきています。
まず上述の通り、各家電専用のインターフェースができたことにより、普通のリモコンと同じようなイメージである程度直感的に家電操作はできるようになりました。
さらに、これも前回のレビューで掲載した、メニューの独立化など細かい点も反映してくれてるのが嬉しいところ。
とは言え、まだまだデザイン・UI面がこなれていない(なんというか、モダンじゃない)があり、画面遷移の導線のわかりにくさなどで使いにくさはあるものの、それはもはや好みの問題でもあるので、少なくともsRemo-R発売当初よりはだいぶ改善されている、ということは言えるのではないかと思います。
sRemo-R2の特徴
さて、上記ではこれまでのsRemo-R発売当初から比較し、sRemo-R2の進化点についてアプリのアップデートによる改善含め述べてきました。
ここからは、sRemo-Rの優れた特徴を掲載します。
機能全部入りで高コスパ
sRemo-R2の大きな特徴は、高い機能性のわりにかなり安価な点です。
例えば、スマートリモコンとして以下のような重要な機能を全て網羅しています。
- Amazon Echo、Google Home連携に両対応
- 柔軟なマクロ機能(後述)
- IFTTT対応センサー(温度・湿度・照度)搭載
他社スマートリモコンは、大抵これら重要な機能のどれかが欠けているというのが現状なのですが、sRemo-R2は上記を網羅。
しかもそれが、Amazon現行価格で¥5,000台で購入できてしまいます。
他にも後述するような気の利いた機能が満載。この価格設定は他社のスマートリモコンと比較すると相当頑張っているなという印象です。
万人に受ける直感的な操作・デザインという面を考えると、他社スマートリモコンにも良いものがたくさんありますが、ある程度このようなデバイスに触れたことがある方や、すでに別のスマートリモコンを使った経験があり、他のも試してみたいといった方にはおすすめできます。
本体はサクッと壁掛け可能。照射範囲も広い
本体でsRemo-R2が気が利いているのは、画鋲で取り付けられることを想定した、壁掛用の穴があることです。


これによって、設置スペースをあまり気にせず、サクッと壁掛けができます。また、本体も軽いので、重さで落っこちたりすることはなかったです。
他のスマートリモコンは両面テープで取り付けられたりもするのですが、それで貼り付けると設置場所を変えたい時とかに壁紙が剥がれてしまったりすることもあります。よって画鋲でサクッと取り付けられるのは嬉しい点。
さらに、sRemo-R2の特徴は、照射できる範囲が広いこと。以下私が計測した他社スマートリモコンとの実機比較となりますので、ご参考までにご確認ください。※この点は前作sRemo-Rとほぼ変わらなかったので、データをそのまま流用しています。

・スマートリモコンは赤外線モジュールが複数内蔵されていることが多いことから、正確な照射角を測定できなかったため、本体表面・側面・底面という曖昧表現をしています。
・TV(SHARP)を使って測定。
・水平、直下、直上:TV受信部位から見た各リモコン本体の配置場所
・表面、側面:赤外線を発信する本体の向き(ロゴや内部モジュールから正方向を個人的に判断。なお側面は任意の軸から0°,90°,180°,270°の4つの方位から測定した結果である。)
スマートリモコンは複数の家電を操作するために、すべての家電に対し赤外線が届くような位置に配置する必要があります。
そういった時に「壁に設置」はうってつけの場所であり、そこにサクッと画鋲で取り付けられるsRemo-R2はなかなか嬉しい点です。
スマートスピーカーからの操作がかなり柔軟
この製品は、Amazon Echo(Alexa)とGoogle Home(Googleアシスタント)両方に対応しています。さらにClovaにも対応予定とのことです。
細かい操作として、Amazon Echoでは「スマートホームスキル」に対応、Google Homeでは「Direct Actions」に対応しています。それぞれの操作対応は以下の通り。
エアコン | テレビ | 照明 | |
Amazon Echo | 電源ON/OFF 温度変更 モード変更 | 電源ON/OFF チャンネル変更 音量変更 | 電源ON/OFF |
Google Home | 電源ON/OFF 温度変更 モード変更 | 電源ON/OFF | 電源ON/OFF |
現状のAlexaやGoogle Assistantの仕様(2019年1月時点)を考慮すれば、できないことは照明の調光機能くらいで大半操作を網羅できています。
特にAmazon Echoにおいて、2019年1月に日本語版Alexaでも正式対応となった、エアコンの細かい操作(Thermostat I/F対応)にもいち早く対応していると言う点が大きいですね。
以下簡単な設定例です。ここではAmazon Echoを設定しています。



なお、他社にあるような、カスタムスキル/Conversation Actions(メーカー側へ独自に設定を作り込む方式)への対応はしていませんが、上記の通りアシスタント側でスマートホームスキル/Direct Actionsでの操作が2018年度中に充実したことにより、これは2019年以降は実質いらなくなるかなと思います。
というところで、sRemo-Rはスマートリモコンの中でもスマートスピーカーから操作するという面で比較的優れているのですが、sRemo-R2の大きな特徴は、マクロ(遅延実行)機能もスマートスピーカー側から話しかけて操作できてしまう点です。


この機能により、ある程度決まった動作であれば、いちいち話しかけたりする必要がなく、一声で自動的にリモコン操作をしてくれます。
例えば、テレビのリモコン操作のように、次の操作にいくまで一定の待機時間が必要なデバイスに有効です。
実用性が非常に高いわりに、このようなしっかりとしたマクロ機能をスマートスピーカーから実行できるものは実は少なく(Alexaのシーン機能に正式対応しているeRemoteくらい)、それを特段の開発なしに設定できるところが、sRemo-R2はかゆいところにも手が届くと感じるポイントです。
IFTTTにも対応
この製品は、上記の通りIFTTTにも対応しています。これに対応しているスマートリモコンは他にNature RemoとLS Miniくらいで、ここでもsRemo-R2の機能性の高さが伺えます。
ホームオートメーションな仕組みづくりをする上で、IFTTTは重要なプラットフォームです。これがあれば、プログラミングをせずスマホアプリから簡単に仕組みづくりをすることができます。
IFTTT上でのsRemoチャンネルは、トリガーとアクションの両方に対応しているのもGood。
例えば、IFTTTの「Location」(スマホのGPS)を使って、「家に近づいたら/ 離れたら、家電をつける/消す」といったジオフェンス機能を付与したり、IFTTTの「Date&Time」やsRemo-R2の「Conditions」で特定の日時に家電実行をするといったルーティン機能を付与することもできたりします。
さらに、トリガー側にIFTTT設定があることで、センサー情報(温度・照度・湿度)を元にした通知・家電制御をすることができたりと、とにかく挙げればキリがないほど、様々な仕組みづくりが可能となるのです。
このトリガー・アクション共にIFTTTに対応しているというのが、開発なしで複雑な仕組み作りが可能と言う、sRemo-R2の大きな特徴です。
センサー類の機能性がすごい
先述の通り、sRemo-R2では温度・照度・湿度のセンサーが搭載されています。
他社スマートリモコンでは「取得時点」の情報のみ参照できるというものですが、sRemo-R2ではグラフ化されることにより、推移も確認することができるのが大きな特徴。

これにより、スマートリモコンとして単に家電操作ができるだけでなく、ペットや高齢者への見守り・空気質分析もできたりするのが良い点です。
さらに先述の通り、IFTTT経由でこのセンサーを元に仕組み作りが細かくでき、センサーを実際の仕組みづくりに役立てることができるのも優れている点です。
おわりに
sRemo-R2は、先述の通り発売当初から考えると相当に改善されてきており、基本的な部分は他社と同等レベル・かつ細かい設定が可能で価格も安いとかなり高コスパな製品となっています。
モダンなUIじゃなかったり、設定項目の階層がやや複雑であることを考えると、万人受けはしなさそうな印象を受けていますが、その分様々なことができるのは先述までの通りです。
よって、このようなガジェットに慣れている人や、スマートリモコンを一通り体験してもっと細かいことがしたい人が2台目以降に買う、中級者以上向けのスマートリモコンとしておすすめです。